前回の記事で、国民年金は可能なら全額免除にして浮いた保険料で米国株インデックスで運用するのが得だと計算しました。
しかし、全額免除が許されるのは所得57万円以下の人だけです。ではそれ以上の人は払った方がいいのか未納の方がいいのかと疑問になりますね。公的年金の半分は税金なのでまさか公的年金が私的運用に負けるはずかがないと思いがちですが、実際どうなのか計算してみました。
結論から先に言えば、障害年金を無視して老齢年金だけで考えるなら男性なら未納の方が得という計算になりました(遺族年金は厚生年金の制度なので無視できます)。
男性の平均年齢を82歳とします。すると1月保険料を払った時の増額は以下の通りとなります。
1ヵ月当たりの年金に増額 | 支給年数 | 増額 | |
全額納付 | 780100/480*100% | 17 | ¥27,629 |
未納ならこれが0になるわけです。
未納の場合は保険料が浮きますので、それを米国株インデックファンドで運用したとします。利回りは7%ぐらいだと思いますが、低めに見積もって6%とします。すると以下のような運用成績が想定されます。
保険料 | 運用年数 | 利回り | 運用後価値 |
15,590 | 15 | 6% | ¥37,362 |
未納の方が1月あたり約1万円得ですね。
国民年金を繰り下げ受給する場合も計算してみます。
1ヵ月当たりの年金に増額(5年繰り下げ支給) | 支給年 | 増額 | |
全額納付 | 780100/480*100%*142% | 12 | ¥27,694 |
82歳で死ぬ男性の場合は、繰り下げ受給をしてもほとんど得はなく、やはり未納の方が1万円得になります。
では87歳まで生きる女性の場合はどうでしょうか?
1ヵ月当たりの年金に増額 | 支給年数 | 増額 | |
全額納付 | 780100/480*100% | 22 | ¥35,755 |
1,607円未納の方が得です。
この女性が繰り下げ受給をしたらどうなるでしょうか?
1ヵ月当たりの年金に増額(5年繰り下げ支給) | 支給年 | 増額 | |
全額納付 | 780100/480*100%*142% | 17 | ¥39,233 |
女性が繰り下げ受給する場合には、未納で6%自力で運用するより全納が得という計算になりました。
しかし7%で運用できるとしたら以下のような投資成績になるので未納の方が得です。
保険料 | 運用年数 | 利回り | 運用後価値 |
15,590 | 15 | 7% | ¥43,013 |
実際には障害年金の価値が高いので一概に未納が得とは言いづらいのですが、男性の場合は1ヵ月あたり1万円も得というのは結構おどろきの結果です。まさか半分税金を投入している公的年金が、米国株インデクスに勝てないとは思っていませんでした。
これでは男性の未納者が増えるのも理解できます。
また男性の場合国民年金を繰り下げ受給しても1月あたり65円しか得しないというのも結構驚きですね。
障害年金などを考慮すると女性は全納した方が得と言えそうです。
障害年金は重要なセーフティーネットなのでこれには加入しておきたいですね。しかしそれをのぞくと公的年金の運用力は税金を半分投入するとしても米国株インデックスに勝てません。だったら国は障害年金だけ運用してもらって老齢年金は廃止し各自自助努力でなんとかする、ということでも良いのではないかと思えてきます。そうすれば老齢年金の50%を担っている税金が浮かせることができます。
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